キャリアの隠れ家
第24回 ライブコンサートは、仕事のストレスから「断捨離」して子どもに帰れる大切な時間だ。今年の師走は、東京スカパラと永ちゃんの豪華なひと時に感謝。
中学生の頃、歌謡曲の御三家と称される人気歌手たちがいた。昭和40年前後の話だが、橋幸夫、舟木一夫、西郷輝彦の3人だ。その中で私は、西郷輝彦が好きだった。確か、中学2年生だったかと思うけれど、冬の雪が降る中、長野市民会館で行われた西郷輝彦のコンサートに出かけた。今でも、なぜか、市民会館までの往復の雪道と、ステージに立つ西郷輝彦の小さな姿が、うっすらと記憶にある。
2回目のコンサートは、高校2年生だった。吉永小百合の20歳記念のコンサートが、東京新宿の厚生年金会館であり、東京にいた叔母に付き添われ出かけた。コンサートが終わり、「街の鳩」という新曲のレコードにサインをもらい、確かに吉永小百合に握手をしてもらったはずなのだが、その時の彼女の手のぬくもりは、まことに残念ながら、記憶にない。(そういえば、そのときのジャケット、何時なくしてしまったのか。今残っていれば、大変なお宝だが…)
東京にいた時代は、吉田拓郎のコンサートによく出かけた。青春の真ん中にいた、懐かしい日々が、拓郎の歌とともに、よみがえる。
さて、そんな時代から40年近く経て、昨年、松本で矢沢永吉のライブがあり、知人のご夫婦とごいっしょに、久しぶりに出かけた。噂通り、永ちゃんフアンの、すごい熱気で圧倒されながら、あっという間に2時間がたち、とても楽しかった。そして、今年の12月は、須坂の東京スカパラと、武道館の永ちゃんのライブに行き、まことに豪華な年末のプレゼントになった。
ここ数年、仕事の環境がすっかり一変し、これまでの成功体験も知識もまったく通じない世の中になった。ただ社会のせいにして納得してしまうのは簡単だが、その変化の激しさとスピードに対応できない自分がいるのだと、思わざる得ない毎日が、まだまだ続く。
ライブコンサートは、そんなどうしようもないストレスを忘れ、大人の世界から「断捨離」して、「子ども」の自分に帰れる貴重な隠れ家だ。
22年12月末