home  → キャリアの隠れ家  → 第18回 セカンドキャリアの隠れ家、「ギャラリーウスイ」

キャリアの隠れ家

→ 第1回 東山魁夷館

→ 第2回 仕事の苦労を仲間と語り合う時間と空間、それが僕の隠れ家

→ 第3回 戸隠神社奥社参道

→ 第4回 山田温泉 “舞の道”

→ 第5回 小県郡浅科村

→ 第6回 「花屋」(おぶせフローラルガーデン)

→ 第7回 東京芸術大学大学美術館

→ 第8回 鬼のいない里、鬼無里

→ 第9回 須坂市浄運寺

→ 第10回 須坂市須坂版画美術館・平塚運一版画美術館

→ 第11回 松本民芸館

→ 第12回 古書店

→ 第13回 映画館

→ 第14回 「矢沢永吉ファンの隠れ家」ダイヤモンドムーン

→ 第15回 おいしい珈琲が飲める隠れ家 丸山珈琲小諸店

→ 第16回 全国の高校の同窓会ノートがある、東京新橋 有薫

→ 第17回 白洲次郎・正子の隠れ家 武相荘

→ 第18回 セカンドキャリアの隠れ家、「ギャラリーウスイ」

→ 第19回 旧望月町にある「YUSHI CAFE」は、昔懐かしいマランツが…

→ 第20回 東山魁夷画伯の墓前で手を合わせる…

→ 第21回 工業の町坂城にある、おししいジャムと紅茶が楽しめるジャム工場直営のアップルファーム。

→ 第22回 ようやく秋めいた9月の休日、信濃33番観音霊場…

→ 第23回 車中は、一人きりの「素」になれる貴重な時間…

→ 第24回 ライブコンサートは、仕事のストレスから「断捨離」して…

→ 第25回 新たな年の初めには、書初めがよく似合う…

→ 第26回 カウンターで一人、おいしい日本酒が堪能できるお店、「ながい」。

→ 第27回 酒器は、銘酒に欠かせない最高の小道具だと思う。

→ 第28回 「山は私を育てた学校である」と遺した恩人は…

→ 第29回 東京出張の行き帰り、往復6時間の車中の「隠れ家」が…

→ 第30回 上田市の無言館に、生きることを許されなかった画学生たちの叫び声を、聴きに行った…

→ 第31回 小布施町の「古陶磁コレクション了庵」で、おいしいコーヒーと庵主の話に時間を忘れる…

→ 第32回 10歳の時の読書体験が、その後の私のキャリア形成に及ぼした影響を考えてみる。それは、内田樹氏の…

→ 第33回 かつて「鉄腕稲尾」に憧れた野球少年が、今では、孫といっしょにバッティングセンターに通う…

→ 第34回 最近、ツイッターを始めてから、一日の時間感覚が濃くなった。「日記」より簡単な「つぶやき」だとしても…

→ 第35回 NHK教育テレビには、視聴率優先の発想では実現できそうもない番組があって、今では、私のキャリアを磨く貴重な…

→ 第36回 上田柳町の「亀齢」という地酒を飲むと、10年前、思いがけない訃報に接した親友を思い出す。お酒も、本も、仕事も…

→ 第37回 また一つ、幸せなお店との出逢い。3代続いた老舗のとんかつ屋「一とく」の店主は…

→ 第38回 5月の連休を利用して、金沢に行ってきた。新幹線が開通すれば…

→ 第39回 私の新たなキャリアの道筋を拓いてくれた、新津利通さん。先日…

→ 第40回 親子で設立された「麦っ子広場」は、いつも楽しい音楽に包まれたNPOだ。来年は…

第18回 セカンドキャリアの隠れ家、「ギャラリーウスイ」
(株)カシヨキャリア開発センター 常務取締役 松井秀夫

第18回 セカンドキャリアの隠れ家、「ギャラリーウスイ」
  私よりも2年先輩で、2年ほど前定年で会社を辞め、念願のギャラリーをオープンした人がいる。場所は、長野市内西尾張部交差点の東側へ100mほど。ご自分の名前を冠したそのギャラリーは、倉庫として使われて建物をおしゃれに改装したもので、初期投資や毎月の家賃だけでも、大きな出費のはずだが、そんなことはおくびにも出さず、淡々と「ギャラリーオーナー」というセカンドキャリアを楽しんでいる。
  先日お邪魔した日は、たまたま、私の住まいの近くにアトリエを構えているという作家の個展が開かれていた。長野周辺の山川の風景を丁寧に、やさしいまなざしで描かれている水彩画で、とても癒された。
  居合わせた画家と、「ウスイ」さんとのお茶のみ話に、時を忘れた。個展の主は、会社を辞めてから画業を本格化し、毎年30枚ほどの作品を仕上げているそうだ。
  外見的にはとても控えめなお人柄とお見受けしたが、掲げられている30枚もの作品一つ一つが、心の豊饒を物語っている。今流行の言葉でいえば、これこそが、「人間力」なのだと思う。
 さて、「ウスイ」さんとの出逢いは、もう30年も前になる。当時彼は、県外の支社を任されていて、初めてお会いした際、握手を求められた。握手をするという習慣になれていなかった私には、そのあか抜けた振る舞いが印象に残った。
 15年ほど前、営業拠点の開設を任された私に、善光寺から、「商売繁盛」のお札をもらってきてくれた。2年前のギャラリー開業の際には、そのお返しをさせていただいた。
セカンドキャリアの選び方にも、その人の生き様が現れるように思う。ギャラリーオーナーを選択した「ウスイ」さんのセカンドキャリアには、純粋な「青雲の志」が生き続けている。



平成22年7月