- 第2回 仕事の苦労を仲間と語り合う時間と空間、それが僕の隠れ家
- (有)オーティエイ 代表取締役社長 太田正道
僕は、30年近くスチールカメラマンをしている。
仕事の現場は多種多様で、4月にハワイでサマーギフトの撮影をすれば、9月にはヨーロッパで年末年始の番組宣伝の撮影だったり、また、上空300メートルで空撮したと思ったら、スイカ畑で収穫風景の撮影もしたりする。朝と昼と夜とで、まったく別の現場で撮影をしていることもある。針の先より小さいギアから、滅法美人の外人モデルまで、食うためにはどんな仕事でも受けてきた。これから先も同じだと思う。
どこでも構わない、要は写真が撮れればいいんだ。
「好きな写真で飯が食えていいね。」と他人は言うが、僕は、“写真が好き”と言うより、“撮影をする”という行為が好きだ。現場の緊張感、そこで夢中になっている自分。その一瞬が大好きだ。スタッフと何かを作り出すその作業が好きだ。その結果が作品になっている。
肉体的にもきついし、緊張の連続で精神的にも疲れる。寝るだけでは取れないその疲労は、新しい仕事での緊張で忘れさせる。とにかく何時も楽しいことを探している。これは一種の現実逃避だから、実は僕は病気かもしれない。(笑)
仕事の時は、何時も周りに人が居る。ディレクター・デザイナー・コピーライター・営業担当者・クライアント・アシスタント、そんな人達と打ち上げで飲む酒は本当に楽しい。夢中になって語っている自分がその中に居る。素晴らしい仲間と美味い料理と酒。面白い話が飛び交い、時間の経つのも忘れてしまう瞬間。
そんな時間と空間が僕の隠れ家でありたいし、いつでも居たい隠れ家だね。