キャリアの隠れ家
第7回 東京芸術大学大学美術館
東京に数多くある美術館の中でも、この美術館は特別な背景をもっている。それは、東京芸術大学卒業生の卒業制作や錚々たる教員の作品を所蔵するための美術館としての役割を持つからだ。場所は、博物館、美術館が集まる上野公園エリアに位置し、大学の敷地内にある。
この美術館を初めて訪れたのは、20年ほど前。かつて、同大を卒業した東山魁夷画伯の卒業作品見たさであった。画伯の代表作の一つに上げられる「残照」も所蔵されていて、その原画のすばらしさに圧倒された。以来、年に、1、2回、本当に気が向くまま訪れては、のんびりとした時間を楽しんでいる。もちろん、日本を代表する画家たちのほとんどが同大学の卒業生でもあり、彼らの代表作も所蔵されていて、その作品の見ごたえは、他の美術館にひけをとらない。また、学生食堂が施設内にあるのも、大学の美術館らしくて、楽しい。
最近では、近くにある国立博物館や国立西洋美術館で行われるお目当ての特別展の帰りに足を伸ばして、お気に入りの隠れ家をはしごする、そんな贅沢な気分を味わっている。