キャリアの隠れ家
第15回 おいしい珈琲が飲める隠れ家 丸山珈琲小諸店
営業活動で外に出ていると、お客様の都合などで、時間調整しなければならないことがある。
先日、小諸周辺に出かけて、ちょうどそんなことになった。いつもは、本屋を見つけて、時間をつぶすことが多いのだが、そのときは、「小諸に、とても素敵な珈琲屋さんがありますよ」といった部下の言葉を思い出した。車を走らせていると、思いがけず、すぐに見つかった。小諸市街地を抜けて国道18号線を御代田方面に10分ほどの、「丸山珈琲」だ。
リゾートでよく見かけるようなロッジ風のしゃれた外観で、車を降りると、駐車場にまで、かぐわしい珈琲の香りが漂っている。広々とした入り口を入ると、左が焙煎工場、右がカフェコーナーとなっていた。
何種類ものメニューから「初心者用」の珈琲を注文した。珈琲の淹れ方にもいろいろあるようだが、ここでは紅茶サーバーに似た容器に入って出てきて、厚手のプラスチックのような珈琲カップに、自分で注いで飲む。いかにも高価そうなカップでないところがいい。珈琲だけを純粋に楽しんでくれればそれでいい、といったメッセージかもしれない。味覚を表すボキャブラリーに乏しい私だが、「とてもさわやかな味わい」で、おいしかった。
学生時代、加川良というフォークシンガーが、「イノダに行かなくちゃ、イノダにね…」と、歌っていた。アルバイトの給料日、仕事が終わってそのまま東京駅から夜行の大阪行に飛び乗り、京都にあるイノダ本店(喫茶店)に向かった。確か、四条大丸の地下にあったように思う。当時は、珈琲を味わうというよりも、加川良の歌の世界に浸りたかったのだ。
それにしても、歌に誘われて京都まででかけてから、40年。今また、部下が薦めてくれた店を思い出し、わざわざ探していくところなど、相変わらずのミーハーぶりだ。
まあ、いっか!
平成22年5月