・最初に、勉強は好きですか?
こんにちは。今日は、皆さんの将来のことを考えるために、高校や大学で学ぶとは、どういうことか、その後、働くとは、どういうことか、お話をさせていただくことになりました。 最初に、ちょっと皆さんにお聞きしたいことがあります。今、学校の勉強が楽しいと思う人、何人ぐらいいますか?手を挙げてください。おお、一人いました。すごいですね。私は、誰も手を挙げないと思っていました。私も高校生のころ、とても勉強が嫌いだったから、きっと皆さんも、全員嫌いなんだろうと思いながら、でも一人でもいたらすごいな、と思ってお聞きしてみましたが、本当に一人いましたね! もう一つ質問があります。卒業してから、どんな進路を選ぶかを、もう考えている人は、いますか?おお、4、5人いますね。そこの男子生徒は、どんな仕事を目標ですか?調理師を目指している!なるほど、もう具体的な目標を持っているのですね。すばらしいと思います。 では、質問はこれぐらいにして、今日は、学ぶことって、どんなことなのか、あるいは、働くことって、どんなことなのか。それを考えていただくためのアドバイスと、そのために、高校生のうちに知っていてほしいこと、とくにふるさと岡谷市のこと、どんな歴史があって、どんな会社があるのか、その会社にはどんな仕事があるのか、そんなことも意識してほしいということもあわせてお話しします。県外に進学すると、もっと岡谷のことを知っておいたほうがよかったなあ、と思うときがきっとあります。Uターン就職するにしても、今から地元にある会社を知っておいたほうが、就職活動しやすいですからね。
・学ぶって、楽しいことがいっぱい!
皆さん、高校生として数学や国語や社会など、いわゆる教科を学んでいます。勉強をするとは、そういう教科書を暗記したり、公式を解いたりすることだと思っていませんか?もちろん、それもあるのですが、実は、学ぶことで得られることは、もっとたくさんあるのです。 数学や国語を学ぶこと以外で、高校時代やさらに進学して学べること。たとえば、こんなことがあると思います。 尊敬する先生と出会ってよかったと思う、これまでできなかったことに挑戦したいと思うようになる、何かの目標を実現してやった!と思う、ルールを守ってほめられる、部活をするために計画を立ててみる、友達や先輩や後輩と仲良くできるようになる、いろいろ覚えられて知らなかった世界を知る、もっと成長したいと素直に思うようになる、などなど。 今お話ししたことは、教科書の勉強とは違うことですよね。でも、学ぶことをこういう風に考えて頑張ってみることが、本当は、社会に出てとても役に立つ勉強だと、私は思います。 先生方が後ろにいらっしゃるので、あまり大きな声では言えませんが、教科書の勉強も大事ですが、高校生のうちに尊敬する先生や先輩と出会ったり、何かに挑戦してみたりすることのほうが、もっと大事な勉強だと、私は言いたいほどです。そして、高校時代のこういう学びが、進学してさらに専門的に学ぶための土台になり、就職して働くための基礎能力になるのです。
・進路は自分だけで考えない、相談する
高校時代に、勉強以外でもいろいろ学んで、進学や就職をしていくことになるのですが、その進路を考えるときに、大切にしてほしいことを、次にお話しします。 これから、具体的に進路のことを考える時、どうしたらいいでしょうか?まずは自分で考えるのは当然ですが、そのあと自分でもよくわからないことって、きっと、たくさん出てきそうですよね。そんなとき、「自分のことは自分で決めなさい」なんて言われそうだからって、親に言えずに、一人悩んでしまうことがけっこうあります。また、進路は自分一人で決めるものだと思い、不安に思っているかもしれませんね。 進路は、皆さん一人だけで決めようと思わないで、先生や親はもちろん、周囲のいろいろな人の力を借りてほしいと思います。そして、今自分はどんな気持ちでいるのか、何がわからないのか、を素直に伝えてほしい。そうすれば、周囲の人たちは、きっと皆さんを応援してくれて、いろいろいいアドバイスをしてくれるはずです。 また、何かを考えたり、決めたりする時は、必ず、判断するための材料をたくさん集めてほしいと思います。情報収集がとても大切です。少ない情報しかなければ、その中でしか決められないので、後々、後悔することにもなりかねませんからね。
・文理選択でも、苦手科目は切らない!
進学する人は、これから受験科目についていろいろ調べていくことになります。まずは、文理選択がありますね。その時、数学が苦手だから文系を選ぶとか、国語が嫌いだから理系にするとか、そういう選び方をしてほしくありません。もちろん、好きな教科があるから、大学でもっと専門的に勉強したい、というのはいいのですよ。好きだから選ぶのはいいけれど、嫌いだから、苦手だから、その教科を切ってしまうという選び方はいけません。なぜなら、進学したあと、今度は就職活動があります。その時の就職試験は、だいたい高校生程度の国語や数学や社会や英語が試験に出ます。 2年生で、自分は文系に進学するから数学は、あまり勉強しない。逆に、理系だから現代国語はあまり勉強しないというと、就職試験でとても苦労します。私は大学の就職相談員をしているのですが、「もう少し、数学を勉強しておけばよかった」と後悔している文系の学生をたくさん知っています。 ですから、選択をしたからといって、苦手科目を完全に切らないこと!それが、とても大切です。少しでもいいから、勉強はつなげておいてくださいね。 ・ふるさと岡谷のことを、もっと知ろう 県外や少し離れた北信や東信地区に進学したり、就職したりする人もいるかもしれませんね。 ふるさとから離れると、なかなかふるさとのいいところがわからなくなります。ですから、高校生のうちに、ふるさと岡谷市のことをきちんと知っておいてほしいというのが、今日の私の最後のアドバイスです。 諏訪湖を目の前にしたすばらしい環境の中、どんな歴史があり、どんな会社があり、どんな人たちがどんな風に生活し、働いているのか、これからもう少し具体的に知っておいてほしい。 たとえば、岡谷市に住んでいる人は55,000人ほどいます。そのうち働いている人28,000人、2人に1人は働いている。働く事業所数は2,900社で、そのうち社員が4人以内の職場が1,800社(62%)、30人以内が900社(31%)、30人以上が117社(4%)です。30人以上の職場は、たとえれば100社中4社程度しかないのですが、でもその4%はとてもすばらしい技術力を持ち、他社ではなかなか真似のできない製品をつくりだしている会社がとても多い。そういうことも、いったんふるさとを離れてしまうと、なかなかわからなくなってしまうものです。 また、業種別でみれば、農林水産業3社(0.1%)、製造業など1,000社(33%)、商業・サービスなど2,000社(65%)で、商業やサービス業がとても多いですね。業種別で働いている人の割合をみると、農林業620人(2.2%)、製造業など12,600人(45%)、商業・サービスなど14,700人(53%)となっていて、業種別の会社の数のわりに、製造業で働く人が多いことがわかります。 こういう統計的なことは、岡谷市のホームページを見れば載っていますので、ぜひ、これを機会に調べてみましょう。そうすれば、進学していずれUターンしてくる時、とても参考になるはずです。
・最後に、皆さんにもってほしい力
これから、進路を考える時、ぜひ取り組んでほしいことが3つあります。1つ目、「考えること」。途中で、もういいや、と思うこともあるかと思いますが、もう一度やり直してもいいので、夢や仕事や友達や好きなことやふるさとのことを、しっかりと考えるようにしてください。2つ目、いろいろ「調べること」。地元のこと、進学先のこと、仕事のこと。好きなアイドルのことは、いろいろ調べたくなりますよね。大切な自分の未来のために、「調べる」ことを続けてください。3つ目は、自分はどんな性格か、どんなことが好きか・嫌いか、どんな夢を持っているか、そういうことを人に伝えられるように、「まとめる」ことをしてほしいと思います。 これから、2学期から3年生にかけては、今日お話ししたことを参考にして、毎日充実した高校生活をおくってほしいと願っています。毎日が楽しければ、それは、楽しい進路選択につながるはずですから!
※上記の人口や事業所数など各種数値は、現在公表されている最新の統計情報とは異なりますので、ご了承ください。
平成23年12月29日
株式会社カシヨキャリア開発センター
常務取締役 松井秀夫