今年のお正月も、150枚ほどの年賀状をいただいた。昨年暮れ、社長をお引きになることになったA社長から年賀状の印刷を頼まれたが、なんと毎年700枚以上も出しておられると知り驚いた。公私ともにたくさんのお付き合いの形があるが、年賀状でのお付き合いも、貴重な人生の交流として大事にしていきたいと思う。フェイスブックができて、年賀状が減るかと思ったが、郵便局の発表でも、昨年並みだというから、私と同じ考え方の方も、まだまだ、多いのだろう。
さて、一昨年、つまり平成23年のお正月からは、旧暦ベースの年賀状にした。私淑する川部重臣さん(日本のコピーライターの草分けのお一人)の「型」を真似したものなのだが、今年も、ようやく原稿を書き上げ、友人のデザイナーに端正にレイアウトしていただいている最中だ。
今年はじめての「キャリアの隠れ家」も、旧暦ベースに変えた初めての「平成23年の年賀状」と、今年「平成25年の年賀状」の原稿をアップさせていただくことから始めようと思う。24年のものは、すでに、昨年の「キャリアの隠れ家第52回」で、ご紹介しているので、省かせていただく。
●「平成23年小正月」
本年も、相変わらぬお導きのほど、お願い申し上げます。
■ 旧暦賀状を、お許しください。今年は、師走になっても、土・日の仕事が続き、ようやく、大晦日になって書き始めている有様です。ただ、なにやら言い訳になってしまいそうですが、実はある方から毎年、小正月前後にいただく賀状を読みながら、いつか私もみ倣いたいな、と思っていました。■その方は、日本のコピーライターの草分けのお一人である川部重臣さんで、25年ほど前、私の勤務先が創業100周年事業を記念してCI活動を行う際、コンサルタントとしてご指導いただき、以来、賀状やメールでのご縁をいただくようになりました。私の半生において、貴重なお導きをいただいたお一人として、あらためて感謝の想いを強くしている昨今です。■川部さんの賀状には、ご専門のコミュニケーション戦略の視点から、経営やマーケティング、時には芸術や教育にまで眼差しを広げられ、その年々の所感が端正にまとめられており、まるで一冊の著作物を読むような読後感が残ります。■さて、「今日感会 今日臨終」―この言葉は、好きな俳優であった緒形拳の書で知りました。「一期一会」と同じ意味のようですが、「一期一会」は少々、使われすぎていますので、こちらのほうが、新年を迎えた私の心境をお伝えできるかと思います。■今年の書初めは、この「今日感会 今日臨終」ともう一筆、「一退一進」と書きました。本来は、「一進一退」とすべきなのですが、あえて逆にしたのは、このほうが、前に進むための覚悟がこめられると思ったからです。避けられない「一退」は潔く受け入れ、それ以上に前に「一進」すること。そんな感慨をあらためて懐く年齢となりました。■昨年を振り返れば、還暦の坂を越えて、年齢を重ねる意味を、少し冷静に考えられようになりました。今年は、もう一度「青春」の日々の志を思い抱き、則をわきまえ、日々精進してまいる所存です。■最後に昨年の、川部さんの賀状の結びの言葉をお借りして、本年初めてのご挨拶とさせていただきます。「~人生は素敵な出逢いに満ちていると感謝して。」(川部重臣氏「初春の所感-2010WINTER」より」
●平成25年小正月
「出会いと別れと映画と音楽と。」
◆旧暦ベースの年賀状をお許しください。昨年は「出会いと別れと映画と音楽」の一年でした。◆「出会い」は、採用ビジネスの仕掛け人広本公朗さんと20数年ぶりの再会。25年前長野でご一緒に仕事をした浜口隆則さんの「里帰り講演会」に参加できたことも、うれしい出来事でした。また、『ソーシャルシフト』の著者斉藤徹さんとの出会い。そのご縁により、新たな仲間たちと協働で斉藤さんの講演会を長野で実現できました。また、昨年初めてご一緒に仕事をさせていただいた岡田基幸さん、児玉光史さんたち。とても楽しく仕事をさせていただき、感謝です。そして、40年ぶりに大学の同級生とも奇跡のような再会!京王線明大前駅前に立つ彼の後ろ姿をみて、一瞬にして40年の時を超えました。◆「別れ」は、親しい先輩達が定年で、次々とお引きになられたこと。世の定めとはいえ、実にさみしい限りでした。そのお一人の送別会では、後輩を代表して感謝の言葉を述べさせていただき、とても光栄でした。◆「映画」では、高倉健さんの「あなたへ」。そして、吉永小百合さんの「北のカナリアたち」。どちらも、寡作な名優の感動作でした。「北のカナリアたち」では、舞台挨拶の最前列に座り、変らぬ美しい小百合さんを目の当たりにする僥倖に恵まれました。◆「音楽」では矢沢永吉さん。40周年記念コンサートと、12月恒例の武道館に「参戦」しました。また、年末には、東京オペラシティで「第九」を鑑賞。「歓喜の歌」を聴き、魂震える余韻を抱きながら、新年を迎えました。◆さて、新しいこの年。仕事の厳しい環境は、まだまだ変わりそうもなく、力不足を痛感しているところですが、あらためて「最年長」の自覚を持ち、カシヨのDNAである「もっとも古く、もっとも新しく」を、余す時間において身を持って実現すべく、微力ではありますが精進してまいる所存です。◆引き続き、ご指導ご支援を賜りますようお願いを申し上げます。
(平成25年の旧暦ベースの賀状は、1月19日ごろ、投函の予定です。お先に年賀状をいただいた皆様には、この場をお借りして、お礼とお詫びを申し上げます)
平成25年1月13日
株式会社カシヨキャリア開発センター
常務取締役 松井秀夫